京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター

京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター

 

プロジェクト

2007年度 プロジェクト研究
近代日本における音楽・芸能の再検討

研究代表者名

後藤 静夫  Shizuo Goto

共同研究者名

今田健太郎、上田学、奥中康人、川村清志、澤井万七美、竹内有一、龍城千与枝、 寺田詩麻、寺田真由美、土居郁雄、廣井榮子、細田明宏、真鍋昌賢、横田洋

研究の趣旨(目的・意義・特色など)

日本の伝統音楽の諸種目の多くが、歌詞をもった音楽(いわば声楽)である。近年、楽器の演奏において唱歌(しょうが)をとなえることの有用性が、しばしば強調される。また現代、旋律、旋律型等を意味する総称としての「ふし」という言葉も、実際には声楽に対してつかわれることが多い(「ピアノのふし」とは言いにくい)。これらのことによっても、日本の伝統音楽における声楽優位は明らかであろう。

そういった現実があるにもかかわらず、声楽の研究にはあまり焦点が当てられない。たとえば、本研究が焦点をあてようとする、歌と語りにおける言葉と「ふし」の関係というテーマは、不完全燃焼の状態で放置されたままであるように思われる。

この不完全燃焼の背後には、学問の制度上の問題がある。歌詞の研究者(主に国文学)は、歌詞の内容解釈を優先させるため、形式の研究は当然後回しになろう。一方、音楽の研究者(音楽学)も、音楽を自立したシステムとして解釈する営みを中心に置こうとすると、言葉のない音楽を中心にせざるをえない(「音楽」という語が伝統的に器楽をさしてきたことも背景にあろう)。

結局、言葉に「ふし」が生成するメカニズムの研究は、応用的領域(後回し!)となってしまったのだが、もちろん、その大切さが学問上で認識されていないわけではない。今から30年さかのぼる1970年代まで、言葉と歌(speech and song)の境界をめぐる問いは、一般音楽学でも主流の問いのひとつだった。また、日本においても数は少ないものの、同じ関心にもとづいた、言葉のアクセント・拍節研究が行われてきたのである。こうした先達のまなざしや試みにふれつつ、一般音楽学の問いにもういちど立ち戻ることには、日本伝統音楽研究の固有の対象が何かを見定め続けるためにも、大きな意味があるだろう。

 

課題と作業

上の趣旨をふまえ、研究会では、3つの課題に焦点をあて、作業をおこなう。

  1. 声、言葉、「ふし」(旋律)に焦点をあてる古い研究文献紹介-
    主に、第二次大戦前までの業績に焦点をあてる。したがって、分野は、物理学(音響学)、心理学、哲学、文学史、文化史、作曲理論等にわたることになるだろう。研究会においては、本の紹介と研究史上での位置づけ、また、利用価値についても考える。
  2. 現代の文献および海外の文献等の紹介-
    一般音楽学へむけて、Speech and Song の境界についての諸論考(地域をとわず)、唄の旋律生成、作曲方法等をめぐる近年の研究動向をよくしめす論文等、アクセント、音韻研究(国語学)、歌謡研究(国文学)等の紹介等、「ふし」生成の研究にかかわるものなら、何でもとりあげる。
  3. 「うた/かたり/ことば/せりふ」等をめぐる個人発表-
    それぞれの参加者が自分の研究領域のデータ等にもとづいて、諸モードの境界と相互関係について考えたり、ふしの生成における言葉の作用について考えたり、等、自由発表をおこなう。

備考

経過報告



◇2007年度

第1回研究会

日時:2007年5月20日(日)13-17時

場所:
京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター(新棟階合同研究室)

内容:
藤田隆則:言葉と節をめぐる諸問題-そして先行研究
上野正章:20世紀前半の日本音楽研究について


 

第2回研究会

日時:2007年7月28日(土)12-16時

場所:
京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター(新棟階合同研究室)

内容:
金城厚:早ブシ・長ブシ、そして歌詞の配分-小泉理論の批判と発展
島添貴美子:金城氏の著書へのコメント(仮題)


 

第3回研究会(二日連続開催)

日時:2007年9月22日(土)14-19時

場所:キャンパスプラザ京都

内容:薦田治子:平家の概説


 

日時:2007年9月23日(日)12-16時

場所:京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター(新棟階合同研究室)

内容:
山田智恵子:義太夫節の言葉とふし、研究方法として採譜
奥中康人:山田氏へのコメント(仮題)


 

第4回研究会

日時:2007年12月2日(土)12-16時

場所:京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター(新棟階合同研究室)


内容:
遠藤徹:古代歌謡の構造・記譜・五線譜化をめぐって


 

第5回研究会

日時:2008年2月9日(土)12-16時

場所:京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター(新棟階合同研究室)


内容:
藤田隆則:無題(兼常清佐『日本の言葉と唄の構造』の紹介、他)歌謡の構造・記譜・五線譜化をめぐって

全員:出版に向けた相談

公開:2007年08月02日 最終更新:2018年03月26日

京都市立芸術大学 日本伝統音楽研究センター

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©Research Centre for Japanese Traditional Music, Kyoto City University of Arts.

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